顧客管理で大事なことは、この3つです
聴いて、組んで、数える。真ん中にあるのは、本音です。
顧客管理のご相談をいただくと、たいてい早い段階で「で、何から手をつければいいですか」と聞かれます。
その質問には、いつでもお答えできます。ツールの選び方も、入力が続かないときにどうするかも、失注をどう集めるかも、それぞれの場面のページに書いてあります。
ただ、そのどれを話しているときも、私が見ているところは同じ3つです。
声・組・数
こえ・くみ・かず。
聴いて、組んで、数える。
顧客管理でやっていることは、突き詰めるとこの3つしかないと思っています。
まわりを回るのが、声・組・数。真ん中にあるのが、本音です。輪が一周するたびに、本音は少しずつ、みんなでやれる形になっていきます。
先にお断りします。これは手順書ではありません
この3つは、上から順にやれば終わるチェックリストではありません。「まずデータを統合しましょう、次に……」という話でもありません。
読んでいただいた通り、すごく抽象的です。そして、抽象的なまま置いておきます。
理由があります。「これさえやっておけばうまくいきます」という形にした瞬間に、それが効かない会社が必ず出てくるからです。
会社によって、規模も、扱っているものも、これまでの決め方の癖も違います。そこに外から借りてきた型を持ち込んで「この通りにやってください」と言うのは、私がいちばんやりたくないことです。
正直に書くと、私は長いあいだ、自分のやっていることを言葉の型にするのを避けてきました。いま振り返ると、避けたかったのは型そのものではなくて、型を人に当てはめることでした。
だからこの3つは、みなさんの会社を診断するためのものではありません。私がどこを見て仕事をしているかを、いちばん短く言ったものです。
抽象的だから中身が薄い、ということではないと思っています。抽象的でなければ、軸にはならないのです。具体的な手順は、会社ごとに変わっていいもの。変わらないものだけが、軸として残ります。
声 ── 聴く
お客さまの言葉と、社内の本音。この両方です。
顧客管理の話なのに社内の本音、というのは少し変に聞こえるかもしれません。でも、ここが抜けると、あとの全部が上っ面になります。「行きたくない」「正直めんどくさい」——こういう言葉が出てこない場所で作った仕組みは、たいてい使われません。
そして声には、二つの層があります。
- 仕組みで拾える声。失注の理由、メールのクリック率、アンケート、問い合わせの内容
- じっくり話さないと出てこない声。「うちの強みって、本当は何なんだろう」の答えのようなもの
前者は、いま何が起きているかを教えてくれます。でも、会社の輪郭を動かすのは、たいてい後者のほうです。
ある傘屋さんで、ブランディングのご相談をしていたときのことです。こだわりの織りの技術を強みとしてきたお店で、「お客さまはなぜここを選ぶのか」を、折に触れて一緒に考えていました。サイトの話やSNSの話、補助金の話をしながら、同じ問いを持ち続けて、1年以上たっていました。
ある日、店長さんの話をしばらく聞いているうちに、こんな言葉が出てきました。
どんなに服がボロボロでも、いい傘一本持ってれば、その人が立つんだよね。
私が引き出した言葉ではありません。長く関係を続けて、お互いに本音で話すことが増えて、だんだん心を開いてくださったからこそ出てきた言葉だと思っています。聞き出す技術の話ではなくて、出てくるまで一緒にいられるかどうかの話です。
そのお店は、いまは「持つ人を引き立てる傘」を作って提案するお店になりました。織りの技術は、捨てたわけではありません。目的だったものが、手段になっただけです。
顧客管理の仕組みを整える目的のひとつは、ここにあります。仕組みで拾えるものを仕組みに任せて、じっくり話す時間のほうを空けるためです。
組 ── 組む
データを一つに。体制を。仕組みを。
- 同じお客さまが、システムの中で何人にも分かれていないか。SFA・CRM・メール配信・受発注がそれぞれ別だと、一人のお客さまが四人に見えます
- 誰がどう決めるかが決まっているか。決める人は少なく、材料を持ってくる人は複数。ここが逆になっている会社は、だいたい途中で止まります
- 通常業務の片手間になっていないか
「組」は、組織の組でもあります。データの組み方と、人の組み方は、同じことだと思っています。
組むというのは、どちらか一方が削られる形にしないことです。二本の輪を組むとき、どちらの輪も、一度は相手の上を通り、一度は下をくぐります。片方だけが相手に合わせ続ける形にはしない。組むというのは、そういうことだと思っています。
数 ── 数える
効いているのか。続いているのか。
ここでいう数は、成果を誇るための数字ではありません。都合の悪い数字が、ちゃんと入っているかのほうです。
- 見積もりを出したあと「考えておきます」で止まっている案件が、いくつあるか
- 負けた案件の理由が、残っているか
- 会社として大事にすると決めたお客さまのところに、今月何回行ったか
数えたくないものほど、数えると効きます。逆に言うと、ここを通らないと、聴いたことも組んだことも本当だったのかどうかが分かりません。
だから、数が最後です。そして、最後ではありません。
一回では、終わりません
聴いて、組んで、数える。そして数から、また声に戻ります。
数えた結果は、次に聴くときの材料になります。「しばらく連絡していなかったお客さまに声をかけてみたら、こういう反応でした」というのは、数から返ってきた新しい声です。
一周するたびに、最初に聞いた言葉が少しずつ変わっていきます。ジャーニーマップを一回作って終わりにしないのと同じで、この3つも一回では終わりません。だから、輪の形をしています。
この3つを、御社に当てはめることはしません
最後にもう一度、同じことを書きます。
私は、この3つを持ってお客さまのところに行って「御社は声が足りていません」と言う仕事はしていません。そういう当て方をした時点で、外から借りてきた型を当てはめるのと同じことになります。
私がやるのは、声が出てくる場をつくって、出てきたものを組んで、効いたかどうかを一緒に数えることです。
図の真ん中に「本音」と書いたのは、そのためです。本音は、出しただけだとまだわがままです。どこかで社会に当てて、難しい返事を受けて、そこで初めてみんなでやれる形になる。声・組・数というのは、その返事が届く回路のことです。回路が回るあいだ、真ん中のものは変わりません。変わっていくのは、その輪郭のほうです。
その先にあるのが、本音で、楽しく働ける会社だと思っています。
具体的な進め方は、それぞれの場面のページに書いています。
なぜ本音から始めるとうまくいくのか、という話はなぜ本音から始めると成功するかに書きました。ご相談をいただいてからの進め方は支援内容にあります。
このページを書いているのは、中山幸子(スマートプラス株式会社)です。
まずは一度、話してみませんか
「何から手をつければいいか分からない」の段階でかまいません。現状をうかがって、優先順位を整理するところからご一緒します。初回のご相談に費用はいただいていません。