「正論が人を動かすとは限らない」と気づいた日
私はこれまで、さまざまな中小企業の業務改善やCRM導入をお手伝いしてきました。
その中で何度も感じてきたことがあります。
「正しい資料や仕組みを作っても、現場の空気が変わらないと、会社は変わらない。」
この実感は、野中郁次郎氏の経営思想――特に知識創造理論(SECIモデル)に出会ったことで、明確な言葉として整理されていきました。
「知識」は、感情や違和感から生まれる
野中氏は「企業の競争力の源泉は知の創造にある」と語ります。
その知とは、マニュアルやデータといった形式知ではなく、人の経験、感情、直感といった暗黙知です。
私自身、子供のころひどいアトピーに悩まされ、「かいちゃだめ」という“正論”に苦しんだことがあります。
肌のかゆみという“感覚”は誰にも見えない。
でも、その感覚こそがリアルで、自分の中の本音でした。
それと同じように、現場の違和感や沈黙の中にこそ、未来を変えるヒントがあると、私は思うのです。
SFAにデータはあるのに、何かが抜けていた
ある時、営業社員が退職する場面に立ち会いました。
SFAには取引情報も活動履歴も入っていましたし、引き継ぎ資料も揃っていました。
それでも、チームメンバーたちは口を揃えて言ったのです。
「このお客様って、どんなテンションで話してたんだろう?」「何をされたら喜ぶ方で、何がNGだったんだっけ?」
SFAにはデータがあっても、“空気感”や“気配り”は残っていない。
私はそのとき、「知識とは記録だけじゃない」と強く感じました。
まさに野中氏がいう「暗黙知の共有=共同化」が行われていなかったのです。
本音と仕組みをつなぐということ
最近では、企業理念と社員の価値観をすり合わせるワークショップを行うことが増えています。
ある現場で、一人の社員が勇気を出してこう言いました。
「実は、会社の方向性がよく分からなくて、みんなについていくだけでした…。」
その言葉をきっかけに空気が変わり、周囲のメンバーも次第に“個”としての声を出すようになりました。
結果として、チームにまとまりが生まれただけでなく、プロジェクトのスピードも上がったのです。
たった一人の「ぽつり」が、組織の知を動かす。
この変化こそが、野中氏のいう「場づくり=知識創造の土台」を私なりに体感した瞬間でした。
「正論の外側」に、知の芽がある
野中郁次郎氏は、「知識を生むのは人と人との対話」であり、企業とはその知を創り出す「生きた場」であると説いています。
私の仕事の本質も、そこにあります。
「業務改善」や「CRM導入」は手段にすぎません。
本当に大切にしたいのは、その会社に眠る“想い”や“声にならない知”を可視化すること。
だから私は、本音と仕組みをつなぐコンサルタントでありたい。
一見“非合理”に見える感情や空気に、未来を動かす知の芽が眠っていると、信じています。
【本音が動き出す組織へ】まずは一緒に話してみませんか?
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そんなお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
本音と仕組みをつなぐことで、組織はきっと、もっと強く、しなやかになります。
スマートプラス株式会社では、理念浸透・業務最適化・CRM活用支援などを通じて、
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