メルマガ開封率を気にしてみる 〜「開けてもらえるメール」は、数字より関係性でつくられる〜

2025/11/09 10:23 - By 中山幸子

「MAツール入れたら、メルマガの開封率が分かるんですね!すごい!」
そう言って喜んでいた担当者さんが、翌週には真っ青な顔をしてこう言います。


「……開封率、全然低いんですけど。」


あるあるです。


むしろこの反応にならない人はいないと言ってもいいくらいです。


なぜなら、多くの人は「思ったよりメールって読まれていない」という現実に、初めて数字で触れるからです。

ここでまず、安心してほしいことがあります。


開封率は「絶対的な正しさを持つ数字」ではありません。


それどころか、ものすごく「環境と前提」に左右される、かなり“揺らぐ数字”です。

だから、開封率だけを見て「成功・失敗」を判断する必要はありません。


むしろ、そこに“意味を持たせる考え方”を持っておくことが大切です。

この記事では、開封率を見るときに押さえておくと楽になる視点をまとめま

した。
特に「数字に振り回されがちなご担当者」に届きますように。


開封率は、リストと商材で目的が違う

開封率は、単純に「高ければいい」というものではありません。
そもそもメールは 相手との関係性 によって反応が大きく変わります。

メールを受け取る人が、


  • すでに知っている相手なのか

  • 全く知らない相手なのか

  • 興味を持っている段階なのか

  • まだ関心が浅い段階なのか


    これだけで、開封するかどうかは全然違うのです。


    なので、目的と状況が違えば、目指す開封率も当然変わります。

    例)同じ「メルマガ」でも、土台が違えば数字は変わる

    配信相手関係性開封率が上がりやすい理由/下がりやすい理由
     既存顧客既に信頼関係がある「この会社の情報なら役に立つ」と思われているため読まれやすい
    過去に取引はないリード(見込み客)関係性はこれから「自分に関係ある情報か」判断される段階なので反応は低くなりがち
     大手企業・事業会社セキュリティが厳しい実際に読まれていても「開封シグナルが返らない」ことが多いので数字が見えにくい

    つまり、
    どんなメルマガでも“同じ開封率を目指す”というのは不自然 なんです。

    もっといえば、


    開封率は 「相手との関係性」 の現在地を示しているに過ぎません。


    高い・低いは、良い悪いではなく、
    「今どこに立っているか」という地図です。


    その地図を見ながら、関係性を育てていくことが大切なのです。


    このほうが「なぜ目指す開封率が変わるのか」がストンと落ちるはずです。

    必要なら、ここに以下のように感情 / 経験の一文を入れて、さらに「人間味」を出すこともできます


    「なんでうちはこんなに低いんだ…」ではなく、

    「今はまだ、知ってもらう段階なんだな」に変わると、

    メールを送る時間が、少し優しいものになります


    開封率の数字は「だいたい」でしかない

    実は、開封率は精度100%ではありません。


    理由はシンプルで、
    メールが開封されたかどうかは、「1pxの透明画像が読み込まれたか」を基準にしているから。

    そのため、


    • 先方のセキュリティがその画像読み込みをブロック → 本当は開けてるのに「未開封」扱い

    • 逆に、先方のメールサーバーがウイルスチェック等で勝手に開封 → 読んでないのに「開封済み」扱い



    ということが普通に起こります。


    特に 大手企業はセキュリティが強いので、数字はかなり揺れます。


    つまり、

    開封率は「参考値」です。


    それ以上でも、それ以下でもありません。

    数字は見るけれど、数字に心を奪われないこと。
    これが、メルマガ運用の精神衛生を守る最大のポイントです。

    「1通ごとの開封率」を上げるのは、件名とプリヘッダー

    1通だけで判断するなら、「件名とプリヘッダー」が全てです。

    メールボックスで見えるのは、この2つだからです。

    ▼Gmailの場合の表示(プリヘッダーはメールボックスの一覧表で右に表示されます)

    ※なお、プリヘッダーを指定しないで送るケースも多いと思いますが、その場合は冒頭から表示されます。

    「こんにちは〇〇です」などで表示を使い切ってしまう場合などは、もったいないですね。

    つまり、「開く動機」はここでほぼ決まります。


    例えば:

    件名が「お知らせ」だと、誰も開けません。
    件名が「あなたに関係あるかもしれません」だと、人は開ける。


    メールは「自分ごと」じゃなきゃ開かれません。

    なので、改善したいならまずはここからです。
    しかし、ここにも落とし穴があります。

    本当は、件名よりも「誰が送っているか」の方が強い

    件名が大事なのは確かですが、

    それは “関係性がまだできていない”段階の話です。


    逆に言えば、

    「この人のメールは開く価値がある」と思われている場合、件名はさほど影響しません。

    友達から「ちょっと聞いて」とLINEが来たとき、内容見ずに開きますよね。


    それと同じです。


    メルマガも本来はコミュニケーションです。


    件名で勝負し続けないといけない状態は、「関係がまだ浅い」というだけ。
    ただ、それは良い・悪いではなく、今の位置を知るだけです。

    「また開けたくなるメール」は、本文体験でつくられる

    そして、もうひとつ大事なこと。

    開封率は「過去の体験」の影響を受け続けます。

    過去に開けて「読んでよかった」と思った人は、また開けます。
    過去に開けて「あんまり刺さらなかった」と思った人は、次は開けません。


    つまり、

    本文は無駄ではありません。
    むしろ「次回の開封率」を作るのは本文です。

    メルマガは一回では終わらない。
    小さな体験の積み重ねで関係性がつくられていきます。

    まとめ


    メルマガ開封率に振り回されないための、重要な視点はこの5つです。


    1. 開封率はリストや商材によって「目指す姿」が違う

    2. 開封率の数字は100%正確ではなく「参考値」

    3. 一通ごとの勝負は「件名+プリヘッダー」

    4. 長期的には「誰が送っているか」の信頼が効く

    5. 「また開けたい」と思わせるのは本文の体験



    つまり、

    メルマガは、数字で測るものではなく「関係性」で育てるもの。


    この感覚を持てると、焦りや不安ではなく、楽しさが生まれます。

    メールは「情報配信」ではなく「つながりの場」。
    その意識だけで、メルマガはまったく別物に変わります。

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    中山幸子