仕組みだけの組織改革は限界がある ──本音を引き出す“外の力”の必要性

2025/05/21 10:57 - By 中山幸子

なぜ、「うまくいかない」のか?

組織改革に取り組む企業は増加していますが、その成功率は依然として低い水準にとどまっています。

マッキンゼーの調査によれば、企業変革の成功率は平均で30%に過ぎず、デジタル変革に至っては16%にまで落ち込んでいます。(参照元: McKinsey & Company 日本企業がアジャイルを活用して組織変革を成功させるには


また、PwCの2024年の調査では、日本企業が取り組む全社的なDXに関して、「十分な成果が出ている」と答える企業は約9.2%にとどまっています。 (参照元:日本企業のDX推進実態調査2024

これらのデータは、仕組みや制度だけに頼った改革が、持続的な成果を生み出すには限界があることを示しています。真の変革を実現するためには、組織の本音や価値観に深く向き合う必要があるのです。



実際、日本で組織改革に取り組む企業の中には、

「一応うまくいったけど、今はまた元に戻ってしまっている」
「仕組みは入れたけれど、社員が活用していない」
「表面的には改善したが、根っこは何も変わっていない気がする」

こうした声が後を絶ちません。


その理由は、「本音」と「仕組み」の関係にあります。

仕組みだけの改革は、改善率が低い

制度、仕組み、KPI──それらを導入すれば、たしかに行動や数値に変化は起きます。
しかし、それはあくまで「外側からの変化」です。意識や本質的な価値観が変わらなければ、改善率は限定的で、一時的になりがちです。


ある企業では、営業成績が上がらない理由を「仕組みのせい」として、報告フォーマットの見直しやインセンティブ制度の刷新を行いました。
一時的には効果が出たものの、半年後には元の状態に戻ってしまったといいます。


原因は、「社員が何を感じていたか」「何に不満を抱いていたか」といった「内側の声」を置き去りにしたまま改革を進めたからです。


組織の底力は、まだ眠っている

本来、組織には驚くほどの底力があります。 それは、社員一人ひとりが持つ情熱、想い、こだわりです。けれどそれは、「建前の会議」や「評価面談」ではなかなか引き出されません。


多くの社員は、「本音を話してもどうせ変わらない」「言っても意味がない」と感じていて、自分の内側を見せることに消極的になっています。


そして、それは組織にとって大きな損失です。 発揮されない熱意、言語化されない才能。 それらを解き放つだけで、今までとは比べ物にならないほどの変化が起きる可能性があるのです。


▶︎ 本音は「会話」だけでなく、「歴史の中」にもある

本音や本心を探るとき、つい「今ここにいる人との対話」だけに目を向けてしまいがちです。 もちろん、従業員との丁寧な対話は欠かせませんが、それだけでは不十分なことも多いのです。


実は、本音や価値観は「組織の歴史」や「創業の哲学」の中にも表れています。


  • この会社はどんな時に力を発揮してきたのか

  • 何に悩み、どう乗り越えてきたのか

  • どんな失敗を「失敗」として受け止めたのか

  • その経験を、どう語り継いできたのか


こうした過去の文脈や物語を丁寧に読み解いていくと、今の課題の根っこや、組織が無意識に守ってきた価値観が浮かび上がってきます。

創業者の言葉、理念に込めた想い、過去に起きた象徴的な出来事── それらは、単なる思い出ではなく「今ここにある組織の本音」そのものです。

だからこそ、組織の本音を引き出すには、現在と過去の両面から丁寧に耳を傾ける必要があるのです。


本音を引き出すには、外部の力が必要

本音は、そう簡単には出てきません。 特に上下関係や評価が関わる組織内では、「上司には言えない」「会社の人間には話せない」ことが山ほどあります。


だからこそ、第三者の存在が必要です。


スマートプラスは、組織の本音を引き出すためのセッションや対話の場を数多く提供しています。 一見すると業務改善やIT導入の相談でも、実際に話してみると「個人のモヤモヤ」や「現場の不信感」といった感情面の話が多く出てきます。

そうした“見えにくい声”に耳を傾けることで、組織に新しい空気が流れ始めます。


「言語化」から「仕組み」へ。順番がカギ

本音や本心が引き出され、組織の軸や価値観が言語化されたとき、ようやく仕組みが本当の意味を持ち始めます。

たとえば──


  • 理念が腹落ちしているからこそ、行動規範が自然と守られる

  • 納得感のあるKPIがあるからこそ、自主的に動ける

  • 対話の土台があるからこそ、制度が息をする


多くの組織改革は、「仕組み→行動変容→意識変容」という順番で設計されます。 けれど実際は、「意識→本音→言語化→仕組み→行動」の順でなければ、本当の変化は起きません。これを知っていただけるといいなと思っています。


組織を動かすのは「仕組み」の前に「本音」

スマートプラスは、「本音を引き出す対話」からスタートし、「組織の本来の姿」を見つめ直し、それにふさわしい仕組みを共につくっていくお手伝いをしています。


組織がもっと自由に、もっとしなやかに。 そして、社員一人ひとりが「ここで働けてよかった」と思える場へ。


あなたの会社にも、まだ使われていない底力がきっとあります。 まずは、ひとつ対話の場を設けてみませんか?

スマートプラス株式会社では、理念浸透・業務最適化・CRM活用支援などを通じて、
“本音が動力になる組織”を共に築いています。


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中山幸子