「理念」と「本音」が交わるとき、組織は動き出す。

2025/05/21 0:17 - By 中山幸子

こんにちは。
スマートプラス株式会社の中山幸子です。

このブログでは、日々の仕事を通して見えてくる
「個性を活かした組織づくり」や「本音と仕組みをつなぐヒント」を
少しずつ言葉にしていきたいと思っています。

記念すべき第一回のテーマは――
「企業において“本音”を出せることは、なぜこんなにも大切なのか」
という話です

理念があるのに、なぜ空回りしてしまうのか?

私はこれまで多くの企業の方とお話してきました。
なかには、すばらしい理念を掲げているのに、社内ではその理念が
まったくと言っていいほど浸透していないところもあります。


なぜか。


私はそこに、“本音”の欠如があると感じています。

たとえばこんな場面。

・社員:「正直、うちの理念って絵空事に聞こえるんですよね…」
・社長:「本当は社員にもっと自由にやってほしい。でも、管理しないと不安で…」
・マネージャー:「建前では“風通しのよい職場”と言うけど、実際は言いたいことを言えない」

理念が「お題目」になってしまうのは、本音の対話がないからです。
つまり「現場が何を感じているか」「どんなズレがあるのか」が
浮き彫りにならないまま、“理念浸透プロジェクト”が空回りしてしまう。

「ホンネを出せる会社」と「ホンネが言えない会社」

【A社:ホンネが出せない会社】

A社は社員数30名の製造業。
掲げていた理念は「挑戦・変化・成長」。


しかし現場ではこうした声がささやかれていました。


「どうせ新しい提案をしても却下される」
「理念の話になると、社長が熱くなって正論だけ言ってくる」
「上司に気に入られた人だけが評価される」


何よりも印象的だったのは、ある社員の一言です。


「理念がどうとか以前に、自分たちの気持ちなんて誰も聞いてないですよ」


ここでは、“ホンネを出すこと”がむしろリスクになっていました。
理念は社長の頭の中にはあるけれど、社員の心には届いていない。
結果として、社員は受け身に、会社は停滞していきました。

【B社:ホンネを出し合える会社】

一方、B社は社員15名のITベンチャー。
理念は「“やさしさ”をテクノロジーに」。


特徴的だったのは、理念そのものが“話し合って育ててきたものだということ。


月1回の全社会議では、
「この理念、今の自分たちに合ってる?」
「もっとわたしたちらしい言葉はない?」


といった話し合いが毎回のように行われます。


ある時、入社1年目の社員が勇気を出してこんな意見を言いました。


「“やさしさ”って、なんかフワッとしていて逆にプレッシャーに感じてました」

すると、周囲は驚くどころか、「実は私もそう思ってた」と共感が次々に。
そこから「どういうときに“やさしさ”を感じるか」という本音トークが生まれ、
結果的に、理念の言葉をアップデートする流れになったのです。

理念が「お題目」ではなく、「みんなで育てる旗印」になっていた。
それが、ホンネが許される土壌の力です。


理念は、“理屈”ではなく“納得”で動く

理念やビジョンは、正しくあることも大事ですが、
もっと大事なのは、腹落ちしているかどうかです。

言い換えると、「私たちの言葉」になっているか

それを実現するには、本音を出せる関係性と、
仕組みとしての対話の場づくり
が欠かせません。


では、どうすれば本音を出せる組織になるのか?


ポイントは以下のようなことだと考えています。

① 本音を出しても「否定されない」という安心感

上司のリアクションは、常に見られています。
意見が出たときに「それは違う」よりも「なるほど、そう感じたんだね」と
受け止めることが、本音を引き出す第一歩です。


② 本音が“可視化”される仕組み

1on1やワークショップ、対話ツールなどを使って
「言葉にする場」を日常の中に置く。
それが理念と現場をつなぐ橋になります。


③ 本音と仕組みがつながるプロセス設計

出てきた本音は、ただ「聞いて終わり」にしない。
業務改善や制度設計に反映することで、
「言っても意味ない」という空気を防ぎます。

最後に:本音の出せない職場で、人は輝けない

誰かが黙っている職場では、本当の課題は見えません。
本音を出せない環境では、個性は発揮されず、組織は硬直化していきます。

逆に、本音が出せる場があるとき、
人は不思議なくらい生き生きと、自分の役割を見つけ始めるのです。

「個性が光る組織づくり」
それは、きれいごとではなく、本音と理念の接続から始まります。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
これからも、この場所で、日々の気づきを綴っていきますね。

それでは、また次回。

スマートプラス株式会社では、理念浸透・業務最適化・CRM活用支援などを通じて、
“本音が動力になる組織”を共に築いています。

経済産業省推奨資格「ITコーディネータ」保有者が、
現場に寄り添いながら実行可能な支援を行います。

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中山幸子