業務改善は“本音”から始まる──SECIモデルに学ぶ、知識が生まれる職場の作り方

2025/06/06 13:23 - By 中山幸子

「仕組みを入れたのに、なぜ変わらない?」という壁

「CRMを導入したのに、現場が活用してくれない」
「マニュアルを整備したのに、改善が進まない」
そんな声をよく聞きます。

中小企業の現場で起きている“業務改善がうまくいかない理由”には、仕組みやツールの問題ではなく、“声になっていない思い”が置き去りにされていることがあります。


SECIモデルとは?──知識は感情から生まれる

経営学者・野中郁次郎氏が提唱した「SECIモデル」は、知識が生まれるプロセスを4つのステップで表しています。


  1. 共同化(Socialization)
     → 体験や感情、直感などの“暗黙知”を、他者と共有するプロセス

  2. 表出化(Externalization)
     → 暗黙知を言語化し、言葉にして共有するプロセス

  3. 連結化(Combination)
     → 言語化された知を、他の知識や仕組みと組み合わせて活用するプロセス

  4. 内面化(Internalization)
     → 得られた形式知を自らの中に落とし込み、新たな行動や判断につなげるプロセス


この循環によって、知識は組織の中で増幅され、イノベーションや変化の原動力となります。


暗黙知=「本音」「違和感」「モヤモヤ」に注目せよ

SECIモデルの出発点は、「共同化」──つまり暗黙知の共有です。
ここで重要なのは、言葉になっていない“違和感”や“モヤモヤ”をすくい上げることです。

たとえば、ある社員が「うまく言えないけど、このやり方だとお客様が困っていそう」と感じている。
この“感覚”こそが、改善の種です。

しかし多くの組織では、それを発する場がなかったり、「エビデンスある?」と即座に論破されたりしてしまいます。

暗黙知は、心理的安全性のある場でしか育ちません。


スマートプラスが大切にしていること

スマートプラスでは、SECIモデルの考え方に強く共鳴し、以下のような支援を行っています。

  • 「理念と仕組みをつなぐ」= 表出化〜連結化の支援
     理念を言語化し、業務フローやCRMと結びつけることで、社員が自分ごととして動けるようにします。

  • 「違いを揃えない」= 暗黙知の尊重
     全員が同じでなくていい。それぞれの“らしさ”や“気づき”を活かすことで、組織は豊かになります。

  • 「本音から始める業務改善」
     制度や仕組みの導入の前に、現場の声、心の声に耳を傾けるところから支援を始めます。


中小企業こそ「知識創造型の組織」に

中小企業は、大企業よりも距離が近く、想いが伝わりやすい。
だからこそ、SECIモデルが自然に回るような環境づくりが可能です。

  • モヤモヤを共有できる雑談の場

  • 本音を言える信頼関係

  • 気づきが仕組みに変わる仕掛け

こうした土壌があれば、改善は自然と動き出します。


本音を力に

本当の業務改善は、「仕組みを入れること」ではなく、
「声にならない思いを言葉にすること」から始まります。

スマートプラスは、そんな本音起点の改善”を形にする伴走者です。


理念がうまく伝わらない、現場の声が届かない、という組織のご担当者は、ぜひ一度ご相談ください。

中山幸子