CRMリプレイスの業者選び、よくある失敗とは?〜既存ベンダー vs 新規ベンダーの罠〜

2025/05/30 17:23 - By 中山幸子

CRM(顧客関係管理)システムのリプレイスは、企業にとって大きな投資です。
「今のままで本当にいいのか」「もっと売上につながるツールがあるのではないか」
そう考えて、既存のCRMベンダーに加えて、新規の複数ベンダーに声をかけてコンペ形式で選考するケースも少なくありません。

しかし、ここには「見落としがちな『罠』」が潜んでいます。


よくある失敗:プレゼンの内容が“噛み合っていない”

選考段階で起こりがちなのが、既存ベンダー(現在保守などを依頼しているベンダー)と新規ベンダーのプレゼンが全く噛み合っていないという現象です。


◆乗り換え前に使っていたツールのベンダーと新規ベンダーの提案傾向

既存ベンダーの提案傾向新規ベンダーの提案傾向
  • 現行CRMの課題を熟知している
  • 開発者が登場し、細かい仕様改善にフォーカスした提案が多い
  • 現場の業務フローに即した「地に足のついた改善」が主軸


👉    現場には共感されやすいが、大きな変化が見えづらく、投資効果に疑問が残ることも

  • 現行システムへの理解は浅め(提案段階では情報が限られる)
  • 営業目線で「この機能で売上〇%アップ!」とツールの可能性を強調
  • 現状とのギャップを飛ばして「未来」の効果を語りがち


👉 経営層には刺さるが、実際の業務課題を理解しているとは限らず、現場の不安が残る

なぜこの構造で「選定失敗」が起こるのか?

多くの企業が、「各社の提案を横並びで比較すればうまく選べるはず」と考えます。
しかし実際は、評価軸がバラバラで、そもそも比べている次元が違うのです。


  • 既存ベンダーは「現状起点での改善」
  • 新規ベンダーは「理想起点での変革」


この違いを認識しないまま評価すると、
「どっちがいいか分からない」
「導入してみたら、全然現場にフィットしなかった」
といった「腹落ちしない導入」につながります。

CRM選定で大切なのは、「横並び比較」ではなく「多面的な理解」

ツールの良し悪しは、プレゼンで一律に比較できるものではありません。
違う切り口でのメリット・デメリットをきちんと整理し、判断軸を自社に引き寄せて再構築することが重要です。


具体的には、次の3つを意識しましょう:


  1. 現場の課題と経営の期待、両方を言語化する

  2. ベンダーごとの特性(改善型/変革型)を理解して見る

  3. 横並びにせず、“それぞれの立ち位置”で評価を行う



「100点のツール」は存在しない。だからこそ、選び方がすべて。

CRMリプレイスで「このツールなら文句なし」という状況は、現実にはほぼありません。
それでも導入を成功させている企業には、「自社の目的に沿った選び方」が存在します。


選定プロセスの“交通整理”をお手伝いします

弊社では、CRMリプレイスにおける情報整理や選考支援を通じて、
企業ごとの理想と現場のリアルをつなぐサポートを行っています。


  • コンペ前の準備整理(目的の可視化/期待値の調整)

  • ベンダー評価フレームの設計

  • 中立的な視点でのアドバイス


「選考の途中で混乱してきた」「何を基準に決めたらいいか分からない」
そんなときは、ぜひご相談ください。


まとめ

CRMの業者選定は、システムの話だけでなく「会社の未来」に関わる重要な意思決定です。
選び方次第で、投資効果は大きく変わります。

選定の前に、まずは「比較の土台」を整えること。
それが、失敗しない第一歩です。


スマートプラス株式会社では、理念浸透・業務最適化・CRM活用支援などを通じて、
“本音が動力になる組織”を共に築いています。


経済産業省推奨資格「ITコーディネータ」保有者が、
現場に寄り添いながら実行可能な支援を行います。

ご相談・ご依頼は、下記よりお気軽にお問い合わせください。

中山幸子